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市民提言2007
「外国人学校の制度的保障に関する市民提言・2007」


<作成>
「多民族共生教育フォーラム2007東京」実行委員会
外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク



Ⅰ はじめに

 世界の人びとは、平和と共生を求めている。しかし、21世紀に至っても戦火はやまず、さらに経済のグローバル化の進行は、国境を越えて移動する人びと、移動せざるをえない人びとを膨大に生み出している。日本においても、とりわけ1980年代後半以降、アジアや中南米など世界各地から多くの外国人が来日し、日本の地域社会で生活するようになった。
いまや日本社会は、日本の植民地支配に起因する在日コリアンなどをはじめ、ニューカマーの外国人を迎えることにより、「多国籍・多民族・多文化」化が急速に進行している。すでに在日四世・五世となる在日コリアンの子どものほか、親と一緒に来日、あるいは日本で生まれたニューカマーの子ども、日本人との国際結婚で生まれたダブルの子どもなど、外国にルーツを持ち複数のアイデンティティを有する「外国人・民族的マイノリティ」(外国籍/日本籍の民族的少数者)の子どもたちも、急増している。
 このことは、これまで日本人の多くが呪縛されてきた「単一民族国家観」にもとづく「国民教育」から脱却して、「多民族・多文化社会観」にもとづく「多民族・多文化共生教育」への転換を、日本社会に迫っている。
 すでに国際社会は、「世界人権宣言」をはじめ、「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」(人種差別撤廃条約)、「市民的・政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)、「経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)、「子どもの権利に関する条約」、「民族的・宗教的・言語的マイノリティに属する人びとの権利に関する宣言」(マイノリティ権利宣言)、「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」(移住労働者権利条約)など、外国人・民族的マイノリティの権利保障に関する共通基準を採択した。そして各国は、その国際人権基準を国内法において受容し実施することが求められている。
 昨年、国連の人権理事会の一員となった日本は、率先してその義務を果たさなければならない。
また、日本における「多民族・多文化共生教育」の展開は、国籍・民族・人種を問わず日本社会を構成するすべての人びと、すべての子どもたちに、複数の豊かな文化をもたらし、偏見と憎悪ではない、共生と平和を希求する新たな社会観・世界観をもたらすに違いない。
 このような「多民族・多文化共生教育」を実現していくためには、外国人学校の制度的保障が必須の課題であり、切迫した現状にあって急務の課題である。
私たちはそのような認識の下、日本政府および広く日本社会に、以下の「市民提言」を提案する。

Ⅱ 外国人・民族的マイノリティの子どもの学習権/教育への権利(right to education)
  ――国際人権法および憲法からの要請

日本がすでに批准している国際人権条約では、自由権規約第27条、社会権規約第13条、子どもの権利条約第30条、人種差別撤廃条約第2条2項において、外国人・民族的マイノリティの「教育への権利」を明文で保障している。
 そして、これらの規定は、外国人・民族的マイノリティがみずから外国人学校を設置・運営して継承語教育・継承文化教育をおこなう自由、外国人・民族的マイノリティの保護者が子どもの教育の内容を優先的に選択する自由をも保障している。これは、自由権規約第27条や子どもの権利条約第30条が、「その集団の他の構成員とともに」自己の文化を共有し自己の言語を使用する権利を保障していること、社会権規約第13条が「公の機関によって設置された学校以外の学校」を選択する自由を保障していることからも明らかである。そして、この自由を実質的に保障するために、政府と地方自治体には、外国人学校を制度的に差別しないこと、少なくとも一般の私立学校と同等の公的補助を含む保護を与えることが要請されている。
外国人学校に対する制度的保障を行おうとしない日本政府の態度は、明らかに国際人権法上の要請に反しており、現実に、国連の各人権条約実施監視機関から、再三勧告を受けている。これらの勧告は、「朝鮮人をはじめとするマイノリティの差別的な取扱いを撤廃するための適切な手段を講じ、また日本の公立学校において、マイノリティ言語による教育へのアクセスを確保するよう勧告する」(人種差別撤廃委員会)、「マイノリティの学校および特に朝鮮学校が国の教育カリキュラムにしたがっている状況においては当該学校を正式に認可し、それによって当該学校が補助金その他の財政援助を得られるようにすること、および、当該学校の卒業資格を大学入学試験の受験資格として承認することを勧告する」(社会権規約委員会)などとして、日本政府に対して改善を求めている。
 以上のような国際人権法の理解を前提にすると、憲法上も、外国人・民族的マイノリティの子どもの学習権/教育への権利が保障されていると考えなければならない。
まず、憲法第13条(個人の尊厳)は、外国人・民族的マイノリティの子どもたちに、人格的生存に不可欠な権利の一つとして、自己の出自に応じた継承語・継承文化教育を受ける権利を保障している、ということができる。
 次に、憲法第26条1項は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定するが、教育を受ける権利の重要性および日本が批准した上記の国際人権条約の規定から、この権利は、「国民」のみならず、日本に居住するすべての外国人・民族的マイノリティにも保障されているものと捉えられる。
 そして、このような「教育を受ける権利」の内容には、日本で生活するために必要な日本語教育および日本社会に関する教育を受ける権利のみならず、自己のアイデンティティ確立のために不可欠な、継承語教育・継承文化教育を受ける権利も含まれる。なぜなら、教育の目的は、世界人権宣言第26条2項などで明記されているように、すべての人、とりわけ子どもが自らの可能性、人格を最大限発展させることにあり、そのような教育目的を達成するためには、外国人・民族的マイノリティの子どもたちが、単に公教育から排除されないだけでなく、それに加えて、自己の出自に応じた教育を受け、自らが所属する集団の母(国)語や歴史、文化を学ぶことが必要だからである。
 また、憲法第26条2項が定める「義務教育」の対象には、外国人も含まれる。政府には、外国人の子どもに対しても、日本の子どもと同様、普通教育を実施する義務がある。
 文部科学省の在籍調査(2007年8月)では学齢期にある外国人の子どもの20.5%が、岐阜県可児市の調査では26%~27%が外国人学校に通っている。日本の学校教育において、外国人学校が果たしているこのような積極的な役割と位置を考えれば、義務教育の対象としての「普通教育」には、「母(国)語・継承語による普通教育」を行っている外国人学校の教育も、当然に含まれるのである。

Ⅲ 21世紀日本社会の課題
  ――「多文化共生教育基本法」の制定と外国人学校の制度的保障

 21世紀日本の多民族・多文化共生社会の実現に向けて、私たちは次の3項目を提案する。
1 国は、外国人・民族的マイノリティの子どもの学習権を保障し、多民族・多文化共生社会の構築を目的とする「多民族・多文化共生教育基本法」を制定する。
2 国は、包括的な基本法である「多民族・多文化共生教育基本法」に基づいて、日本学校(一条校の国・公・私立学校)における外国人・民族的マイノリティの子どもの日本語教育および継承語・継承文化教育を保障する法制度を確立するとともに、「外国人学校振興法」を制定して外国人学校の維持・発展に必要な措置を講じる。
3 地方自治体は、「多民族・多文化共生教育条例」を制定し、日本学校と外国人学校に対して、具体的かつ積極的な施策を展開する。

Ⅳ 緊急に取り組むべき課題

上記の基本的かつ必須である法制度の実現に向けて、政府および国会、地方自治体、経済団体、関係機関が、それぞれ責任主体として緊急に取り組むべきこと、すなわち特段の法改正を必要とせず、すぐに実施できる措置として、私たちは以下の11項目を提案する。

●総合的かつ継続的な実態調査
1 政府および国会は、「多民族・多文化共生教育基本法」の制定に向けて、外国人・民族的マイノリティの子どもの実態調査、日本学校と外国人学校の実態調査を行う。
2 地方自治体は、「多民族・多文化共生教育条例」の制定に向けて、外国人・民族的マイノリティの子どもの実態調査、日本学校と外国人学校の実態調査を行う。
3 文部科学省は、日本学校における「不登校児童・生徒調査」(「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」)で、外国人児童・生徒を調査対象から除外しているが、それを含む全数調査を行う。また、岐阜県可児市が実施したように、市区町村教育委員会、NGO・NPOなどと共同して外国人児童・生徒の「就学/不就学」実態調査を、全国的かつ継続的に行う。

●外国人学校(各種学校/未認可校)への支援
4 政府および地方自治体は、朝鮮学校・中華学校・韓国学園など各種学校となっている外国人学校に対して、私立学校(一条校)と同等の助成金を出す。
5 文部科学省は、「告示」を改正して、朝鮮学校・中華学校・韓国学園などの外国人学校を「初等教育または中等教育を外国語により施すことを目的として設置された各種学校」として認め、「特定公益増進法人」の対象として寄付金の免税措置が受けられるようにする。また、校舎の建設費用などへの寄付に適用される「指定寄付金」としての免税措置も受けられるようにする。
6 文部科学省および市区町村教育委員会は、日本の小・中・高校に相当する外国人学校(各種学校/未認可校を問わず)に在籍・卒業する児童・生徒が、日本の小・中・高校へ入学・転入学する際、その入学・転入学資格を認める。
7 文部科学省、地方自治体、その他関係機関は、外国人学校(各種学校/未認可校を問わず)に在籍する児童・生徒の健康診断をはじめとする学校保健や学校給食、学校保険、奨学金制度において日本学校におけるものと同様の措置をとる。
8 地方自治体および経済団体・企業は、「外国人学校支援財団」を設置し、外国人学校関係者やNGO・NPOなどと協働して、外国人学校(各種学校/未認可校を問わず)に対する学校運営費・教科書代・備品などの助成を行う。その際、経済団体・企業は、国連および経済協力開発機構(ОECD)が行動基準を示した「企業の社会的責任」(CSR)に基づいて、この課題を積極的に担う。

●未認可校への支援
9 都道府県は、校地・校舎の自己所有要件、過大な資産要件など不必要な要件を改め、外国人学校に対する各種学校・準学校法人の認可基準を緩和する。また、未認可の外国人学校に対して、通訳付きで各種学校制度とその申請手続きの説明会を行い、母国語での説明文書の配布、条件を満たすための助言など、多くの外国人学校が認可を得られるよう、実質的な支援措置を積極的に行う。
10 政府および地方自治体は、認定外保育施設とその利用者に対して、認可保育所への移行に必要な経費助成や消費税の免税措置などを行った前例を踏まえて、「不就学外国人児童・生徒ゼロ」をめざし、各種学校の認可を受けていない外国人学校とその保護者に対しても、認可取得経費や日常経費の助成、消費税などの免税措置、休廃校となっている公立学校の校舎・校庭の無償貸与、日本語講師の派遣など、可能な支援を積極的に行う。
11 JRなど公共交通機関の各社は、日本の小・中・高校に相当する未認可の外国人学校に通学する児童・生徒に対しても「通学定期券」の購入を認める。

 さまざまな民族、多様な文化を受け入れ、一人ひとりのかけがえのない子どもたちへの教育権を等しく認めることは、新しい複合的な文化を生み出し、さらに社会も地域も豊かにし、人びとの心と生活を満たしてゆく要素といえる。子どもたちの未来、そして共生と平和に向けて、私たちはこの「市民提言」を、すべての人たちと連携し協働しながら実現していきたい。

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